東大に受かる努力では、もう勝てない。
これは、本書努力2.0の帯に書いてあった文句です。気になりませんか?これはどういうことなのか。
著者は、東大卒のプロゲーマーときど氏。
先ずはプロゲーマーになるまでの経歴は
麻布中学校・高等学校卒業後、1浪を経て、東京大学教養学部理科一塁入学。
東京大学工学部マテリアル工学科に進学、卒業。同大学院工学系研究科マテリアル工学専攻中退。
2010年、日本で2人目となる格闘ゲームのプロデビュー。
という経歴の持ち主です。
ここまで完璧なエリートな著者が「東大に受かる努力ではもう勝てない」という状況はどういう状況なのか?
そしてその中で考えられた努力2.0とはどうこうことなのでしょうか?
本書を読むことによって新しい努力の仕方を身に着けられます。
序章
プロになって順風満々だった著者がプロ4年目ぐらいから壁にぶち当たります。
全くと言っていいほど勝てなくなったというのです。
何故か?
著者は、東大に入るぐらいの頭脳の持ち主。
今までは、ゲームがリリースされるとそれに合った勝ち方をいち早く見つけ、情報を入手し独占し、負けない戦い方に徹する。
更に以前は、ゲームのリリースする感覚が短く上記のやり方が適していました。
ゲームのやりこみ具合がある程度までいったところで次がリリースされる為です。
しかし壁にぶち当たった頃からインターネットの発達とプレイヤーの増加で瞬く間にゲームの情報が共有されてしまう。
今日勝った必勝法が明日には通用しなくなってきたのです。
また、ゲームのやり込み具合も以前なら1から87%ぐらいで次のゲームになっていたそうです。
現在は最初からやり込み具合が80%、下手をすると85%ぐらいからスタートになり今まで型にハマった合理的な勝ち方をしていた著者は勝てなくなったといいます。
今、勝てればいいでは勝てない。
著者が言うには、「今勝てる」「正解に最短でたどり着く」、このやり方は東大受験では大きな効果を発揮したそうです。
しかし変化が激しいプロゲーマーの世界では、歯を食いしばる努力の方法では勝つことに繋がらない。
スランプに陥りながら変化の激しい時代に合う努力の仕方を見出したのです。
努力2.0とは
努力2.0とはについては本書で「はじめに」の章にいきなり纏めてあります。
目次(6章)にもなっていますので箇条書きにするとこのようになります。
1.反復の法則 | |||
努力1.0 | 勝ちにこだわる | 努力2.0 | 負けの中に答えがある |
2.環境の法則 | |||
努力1.0 | 一人でやる | 努力2.0 | ライバルは敵ではない |
3.メンタルの法則 | |||
努力1.0 | 情熱だけで乗り切る | 努力2.0 | こころに負荷をかけない |
4.継続の法則 | |||
努力1.0 | 己に打ち勝って続ける | 努力2.0 | 頑張りはいらない |
5.whyの法則 | |||
努力1.0 | レールにそって生きる | 努力2.0 | いやなことはやらない |
6.地力の法則 | |||
努力1.0 | 人と比較する | 努力2.0 | 自分史上最強になる |
著者は、努力の方式を6つの方式に纏め、努力1.0は、東大に入るような今までの努力の仕方、努力2.0は、変化の激しい現代に対応する努力の仕方と位置付けています。
この6つの法則をこんなことが書いてあったよと簡単に説明します。
1.反復の法則
何かを成し遂げるには、ある程度の反復が必要です。
今までの努力1.0のやり方だとコツコツと時間をかけて準備をし本番に臨めば良かったそうです。
しかし現代の努力2.0では、インプット→アウトプット→フィードバックというやり方で小さな本番を繰り返し、学ばないと厳しい時代になりました。
勝つことに拘り過ぎると視野を狭めてしまうそうです。
負けるプレッシャーと言うより負けることに慣れ、そこから学び成長していく。
負け試合には、全てが詰まっていると思う思考になってから成長できスランプを抜け出せることができたそうです。
2.環境の法則
努力1.0では、一人でやる。努力2.0ではライバルは敵ではないとなっています。
今までは、情報を独占し、手の内を明かさない方が有利とされていました。
現在は、ライバルと普段から対戦し切磋琢磨し、自分も相手もレベルを上げていく。
今は情報があっという間に出回るので手の内を明かさない方式もどこかで使われ対策が共有されていく。
ライバルを同志として切磋琢磨しレベルを上げていった方が最終的に強くなれるのです。
3.メンタルの法則
以前の努力のやり方だと好きで情熱さえあれば努力できるとなっていました。
努力できないのは、好きでもなく情熱もないからだと鞭打つやり方です。
しかしそれでは、無理がきます。こころのエネルギーは無限ではないのです。
例え情熱だけで乗り越えられたかのように見えても少しのスランプで更に大きな反動がきます。
著者は、ノートをつけたりしてメンタルの状況を把握し無理していないかをチェックなどをしているそうです。
情熱を持ちつつも心をメンテナンスする。その両輪ががあってこその努力が実を結ぶそうです。
4.継続の法則
上達するには、継続することが絶対です。
しかしそもそも人間は、なかなか継続できません。
今までは、それでも己に打ち勝って継続するというのが一般的でした。
しかし今は、研究がなされ習慣化したり、環境を整えたりする方が継続しやすいとなりました。
著者は、継続する方法を以前から研究し、実践しています。
自然に動く仕組みそれこそが努力2.0だそうです。
5.whyの法則
努力1.0、2.0というより何故それをやるかを考える。
著者は、大学院に進学することを決めたときにちょっとした違和感があったそうですがまあ普通そんなものだろうと決めてしまい後悔したと言っています。
レールの沿って進学を決めたましたが、やはりそこまで思いがなく学校にいけなくなったそうです。そして退学します。
人生で「なぜこの道を選ぶのか」を問いかけ、自分で決めてこなかったツケが回ってきたと思ったそうです。
それからちょっとした違和感があればやめて立ち止まる。
何故それをやるのかを考えると世間の常識で何となくやるを回避し後悔を避けられます。
6.地力の法則
著者は、プロゲーマー初期の頃は誰かが決めたルールにそって努力し、誰かが決めた正解があったと言います。
この問題回答スキルに長けていた。東大に受かったやり方です。
しかし、現在戦っているプロの世界は「これをやったら勝てる」という答えがない。
相対的な勝敗だけで強さを定義するのが難しくなったと言います。
ここからは、自分との戦いで理想や目標が支えになる。
重要なのは、自ら「どうなりたいか」という自分なりのポリシーが大事だそうです。
6つの法則の特徴をサラッと書きましたがある一部を取り上げただけですので新しい努力の仕方、努力2.0を身に着けるには、是非本書を読んで学んで下さい。
必ずや役に立つと思います。
お勧めな人
この本は、特にこんな方にお勧めです。
- 新しい努力の仕方を知りたい人
- 答えのない世界でどのように成長しようか迷っている人
- 本物の実力をつけたい人
- 学生の方
- プロゲーマーはどんなこと考えているか知りたい方
プロゲーマーは、本当に凄いところで戦っているなと感じました。
昔は、ゲームというと遊んでいるイメージでしたがプロとなると普通に働くより何倍も努力が必要なんですね。
だからこそ、辿り着いた努力2.0。これからの努力の仕方だと思います。